嗅覚障害について、自宅でできる嗅覚トレーニング
嗅覚障害とは:嗅覚の低下や消失に加え、本来と異なる匂いがする異臭症も含まれます。
匂いの粒子を受け取り、脳へ情報を送る嗅細胞や嗅神経は鼻の天井部にのみ存在しています。
鼻炎やウイルス感染により、嗅細胞や嗅神経自体の機能低下を生じるタイプは「嗅神経性」と分類され、年齢は無関係で頻度も多く、通常の風邪でも突然生じることがあります。
発症からなるべく早期の治療開始が推奨されております。
治療法:鼻汁や鼻粘膜の腫れがある場合は抗アレルギー剤や点鼻薬で改善させます。
嗅覚細胞や神経の活性化や修復を狙い、漢方薬の当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)やビタミンB12剤を服薬することがあります。3カ月程度の長期間内服することが多いです。
◎自宅で可能な嗅覚トレーニング◎
ドイツで近年発表され、日本の耳鼻咽喉科学会でも推奨されるようになりました。
4種類の異なる匂い成分を準備し1日2回、10秒間ずつ嗅ぎます。
香りは、バラ、クローブ(樹木の一種、刺激性のある香り)、ユーカリ、レモンが主ですが
香りの種類が少々異なっても問題はなく、嗅ぐ順番も決まりはありません。
嗅覚トレーニングキットが安価で市販されております。
ポイント
1.意識して嗅ぐ:ニオイが分からなかったとしても、嗅いだものが何かを頭で意識して嗅ぐ
2.短い時間、毎日嗅ぐ:鼻に近付けくんくんと10秒間、小さく嗅ぐ、連日続けることが大切
3.何種類ものニオイを嗅ぐ:異なる刺激を嗅神経に届けるために、3-4種類の匂いを嗅ぐ
4.1分間間隔を空ける:1種類につき10秒間嗅ぎ、その都度1分ほどリラックスして休む嗅覚障害でお困りの方はぜひお試しください。
文責:日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会 専門医 本田 徹