鼻出血(鼻血)について 🐼
○花粉症や寒暖差の大きい季節では鼻粘膜が荒れ、少しの刺激により出血しやすくなります。
○鼻出血しやすい行動:鼻を強くかむ、鼻を触る、強いくしゃみ など
◌両方からの出血は珍しく、ほぼ全例左右いずれか片方の鼻から出血します。
💡 場所は主に、左右の鼻を分けている仕切り板(鼻中隔)の粘膜から出ることが多く、特に鼻の入口から約3センチ以内での出血が90%を占めると言われております 💡
正しい止血法
- 座って前かがみの姿勢になる。のどへ下りてきた血液を飲まない
- 親指と人差し指で両方の鼻先端を強くつまむ
- 5-10分間は圧迫し、可能であれば出血側の首の側面(頸動脈付近)を冷やす
間違った止血法
- 鼻の上の方、目の高さ付近をつまむ:目頭や鼻の付け根は骨でおおわれており、圧迫による止血効果はありません。
- 上を向く:頭を後ろに反らすと鼻血が喉や口に入り込んでしまいます。血液が喉に入ると誤嚥しやすくなり、また血液が胃にたまると気持ち悪くなり、嘔吐することで血圧が急上昇し、出血量が増える可能性が高まります。
- 鼻をかんで鼻血を出しきる:鼻血を無理に出しきろうとすると傷が広がり、出血量が増えてしまいます。
クリニックでの処置
まず、血液を掃除してから細いカメラで左右の鼻内を観察し出血点を確認します。
- 広範囲に分布する細かい静脈からの出血
焼灼の適応が低いため止血薬を含むガーゼで圧迫したり、止血効果のある繊維を10分間程度留置します。
- 1-2本の比較的太い血管(動脈or静脈)からの出血
止血薬や麻酔薬を含むガーゼを10分間程度留置し、血管を収縮させると同時に粘膜の麻酔を行います。
ガーゼを抜いた上で、専用の器具で原因となる血管を焼灼します。
焼灼した場所には、かさぶたが形成され1週間程度で正常な粘膜へ戻ります。
薬剤での改善、予防:荒れた粘膜の改善目的で抗アレルギー剤や漢方薬、点鼻薬を使用します。まずは上記の止血法をお試し下さい。繰り返し出血する際は太い血管からの出血や腫瘍からの出血の可能性もありますので、一度診察にお越しください。
文責:日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会 専門医 本田 徹