耳鳴りについて 最近の知見|ほんだ耳鼻咽喉科|愛知県一宮市の耳鼻咽喉科

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耳鳴りについて 最近の知見

耳鳴りについて

「キーン」「ジー」「シーン」やセミの声など
耳鳴りの聞こえ方やその程度は人によって異なります。
2~3日経っても治まらない耳鳴りは重要な疾患が隠れている可能性があります。

原因

まだ不明な点も多いですが、聞こえの低下や聴覚細胞の機能低下に対し、脳からの過剰な電気信号が原因ではないかと近年解明されてきました。
実際に音が鳴っているのではなく、脳からの信号を音として感じていることが多いです。
聞こえの低下がないに関わらず、耳鳴りを感じるタイプの方もいます。聴力検査が推奨されます。

また、耳鳴りの大きさや性状は、自分の体調や周囲の環境でも変化します。
<例> ・他のことに集中している時、騒がしい場所→気にならない
・ストレスが溜まったり脳が疲労している状態、夜寝るときなど静かな場所→気になる

耳鳴りの増悪因子と進行による影響

・耳鳴りの音を気にする、聞こうとする
➡耳鳴りは脳の感受性(過敏性)が高まる状態で、気にすればするほど増大します。

・耳鳴りによるストレスの蓄積
➡耳鳴りが日常的なストレス起因となり、精神面が不安定になります。

・不眠などの不定愁訴に繋がる
➡ストレスの蓄積や耳鳴りの音によって夜眠れない、めまい、頭痛などの不快症状が表れます。

治療

・まずは発症状況を確認し、耳の診察、聴力の測定や脳血管障害等の危険なサインがないか診察します。聴力の低下が急激なものか、数年来のものかで対応が変わります。

急激な聴力の低下によるもの
突発性難聴、メニエール病、脳血管障害、聴神経腫瘍、耳垢等で生じる場合があります。
各疾患に対する治療を行います。脳血管障害や聴神経腫瘍は基幹病院へ精査を依頼する場合もあります。
聴力の低下が改善すると耳鳴りも改善する可能性があります。
処方:耳への血流改善薬や漢方薬で適応があるものがあります。いずれも保険適応です。

数年来の聴力の低下によるもの
年齢による聴力の低下が最も多いです。特に高音の低下が特徴で、高い音の耳鳴りがしやすいです。
聞こえの神経や細胞への栄養剤はありますが、聴力を上げる内服薬はなく、基本的には補聴器で聴力を補います。聞こえの改善と共に脳も休まり、耳鳴りが軽快したり、感じにくくなります。
補聴器には耳鳴りを軽減するためのサウンドジェネレーター機能が付いたものが多いです。

日常生活での心構え
・耳鳴りが悪いものではないと認識すること、耳鳴りの音を追わない、意識しない
・十分な睡眠と適度な運動、バランスのとれた規則正しい食事、脳と体の疲労軽減
・就寝時に耳鳴りが気になり眠れない時は「静かにしすぎない事」も良いです。波や小川の音などリラックスできる音楽、ホワイトノイズやラジオの音を流すと良いでしょう。

文責:日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会 専門医 本田 徹